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上限金利規制後の消費者金融サービス -北海道経済に及ぼした影響-

飯田 隆雄
札幌大学

いわゆるグレーゾーン金利の撤廃に伴って金利が29.2%から20%に下がっていく過程において、貸出残高の減少が実体経済にどのような影響をもたらしたか、北海道地域に限定してシミュレーション検討した。

具体的には、北海道開発局(2004)『平成12年北海道産業連関表 33部門北海道産業連関表及び各種計数表』を利用した。

ここで利用する『産業連関表』のプログラムはプラスの波及効果を導出するものであって、マイナス波及効果は導出できない。

そこで、減少分をプラスと見なして計算し、その計算結果分マイナス効果を生ずるという読替を行った。まず、金融庁の消費者向け無担保貸金業の貸付残高、平成17年度・18年度のデータを利用して、

(1)     貸付残高減少のマイナス経済波及効果、

(2) 20%超の高金利におけるマイナス経済波及効果、

(3) 武富士・アコム・プロミス・アイフル・三洋信販のマイナス波及効果、

について推計した。

 

(1)貸付残高額の減少は36%、最終需要の減少分は21,699,600万円となった。直接波及効果の減少分26,566,900万円、間接波及効果の減少分は4,609,100万円、総合波及効果はマイナス31,176,000万円となった。雇用誘発効果の減少分は14,512人となった。

2005年度の北海道人口を563万人とすれば、一人当たり総合波及効果は55,375円の減少、20兆円弱の北海道のGDPの1.6%弱の総合波及効果の減少となる。

(2)金利が20%超の貸付残高金額ベースの減少は2005年度を基準に22%、最終需要の減少分は9,650,100万円となった。直接波及効果の減少分11,814,700万円、間接波及効果の減少分は2,049,700万円、総合波及効果はマイナス13,864,400万円となった。雇用誘発効果の減少分は6,454人であった。

(3)5社の営業貸付残高・口座数における北海道地区の融資残高の減少は2005年度・2006年度の年間平均北海道シェア率は4.25%、貸付残高金額ベースの減少は10.8%であった。最終需要の減少分は2,743,700万円となった。直接波及効果の減少分は3,359,100万円、間接波及効果の減少分は582,800万円となり、総合波及効果はマイナス3,941,900万円となった。雇用誘発効果の減少分は1,835人であった。

→英語バージョン

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