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社会における会仔の役割と発想についての検討-クレジットカードとの比較-
陳 足英
義守大学
今年の夏に大学を卒業した青年のうち、僅か24.4%しか就職ができなった。ある銀行財富管理部の管理者(主管)は、青年たちに将来の資金管理についてアドバイスを提起した。「基本的な消費金額を計算し、できるかぎり節約し、なんとか貯金の習慣を作る」。
長い歴史をもつ中国では、市場経済もはやくから成長していた。「蛙を待ち構えている蛇のように、貪欲な高利貸達がいる」ということばが残っていることにも示されている。また「倍称の息」[i]ということばも使われていた。「倍」とは利息を元金の2倍にすること、「称」とは利息を元金と同額にすることを指す。つまり200%、100%の金利である。このような悪条件でも借金せざるをえなかった農民は、高利貸大地主から金を借りて多くの犠牲者を出し、村から逃亡して流民化し社会を不安定にした。高利貸から借金をしなくてもよいように、中国の民衆は「合会」という相互扶助的な庶民金融組織をつくって自分たちの生活を守ろうとしてきた。
台湾の庶民の相互扶助的な金融組織という点では、日本の頼母子講や無尽と質を同じくする組織である。台湾の庶民金融は会仔(wheai)という。または互助会や合会ともいう。理財(Investing)の道具として、大勢の台湾の庶民たちが利用している。
クレジットカードを利用するのは、大金を持ちながら、買い物をするのはリスクがあるからであり、また、買いたい時には現金がなくてもクレジットカードで支払うことができるからである。しかしながらクレジットカードを利用しながら、貯金しようと思うと大変難しい。そこで「会仔」を使うのである。
[i] 東一夫『王安石と司馬光』1980年6月、沖積舎