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協同組織金融機関における組合員のローン行動 -JA信用事業をモデルとした考察-

村上 真理
JA広島信連

これまで筆者は、マーケティングをめぐる諸理論のうち特に関係性マーケティングに注目し、協同組織金融機関に対するアプローチの有効性を検証してきた。顧客との長期・継続的な関係を基本とする関係性マーケティングは、今日ではマーケティングにおける中心課題の1つとなっている。そして、関係性マーケティングの主要概念には、協同組織金融機関の組合員制度と共通する部分が多いとも思われる。

そこで、それら主要概念に基づく仮説モデルを作成し、共分散構造分析を試みた。仮説モデルは、リレーションシップの形成要因とリレーションシップの維持要因を潜在変数とし、観測変数には「組合員維持率」や「組合員割合」といった組合員制度ならではのものを主として用いている。分析に用いたデータは、ある農業協同組合に依頼して店舗単位で集計した顧客データの提供を受けた。

ここでの分析を通じ、組合員制度そのものが、関係性マーケティングの構成概念を内包したものであることが裏付けられた。また、それが事業業績にも少なからぬ影響を及ぼしている実態が明らかになった。しかしながら、予備調査の段階では住宅ローンやマイカーローンなどローン関連項目を観測変数に想定したものの、最終的に解が収束せず、それらをモデルへ反映するに至らなかった。

この点を究明するため、JA信用事業の窓口来店客を対象に、組合員のローン行動に関するアンケート調査を実施した。ここでは、仮説モデルを補完するための限定的なものとの位置づけながら、調査の前提とした「肯定的な回答は、年齢が高いほど多く、また、取引歴が長いほど多く、さらに准組合員より正組合員の方が多い」ことがおおむね確認され、組合員制度のもとでの組合員のローン行動の一端が明らかになった。

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