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イギリスにおける金融能力のための国家戦略

春井久志
関西学院大学

わが国では、金融商品取引法が十分に対応しきれていない「消費者保護」の問題が未解決である。すなわち、第1に、金融商品・サービスに関する金融リテラシーを向上させるための「金融能力向上の国家戦略」の未整備である。第2に、金融商品・サービスの不正な販売によって消費者被っている損害を金融当局が補償する制度およびその損害補償を円滑にかつ簡便に受けることを可能する「訴訟外紛争処理制度」としての「金融オンブズマン制度」の未整備である。わが国がとるべきより重要な危機対策としては、消費者の被害救済にとどまることなく、そもそも複雑な金融商品やサービスなどの資産運用の決定に必要とされる判断力や専門的知識を国民一般が広く体得していないという現状をできる限り速やかに解消する対策を国家レベルで実施することが肝要である。「イギリスにおける金融能力のための国家戦略」をわが国においても早急に実行に移すことは喫緊の国家レベルの課題である。パーソナルファイナンス教育のイギリスの実態を明らかにし、わが国における金融教育のための国家戦略を提言する。

 

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