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総量規制の影響に関する実証分析
樋口 大輔
堂下 浩
田邉 亮平
東京情報大学
2010年6月より導入された消費信用市場における総量規制の借り手への影響について、定量的な分析を行った。
個人のノンバンクからの借入総額を原則として年収等の3分の1までに制限する総量規制は、導入後ある程度の期間が経過し、多重債務問題を抜本的に解決するという目的に貢献できているかどうか、判断することが可能な段階に入ったといえる。
本研究では、総量規制導入前後における長期的なデータを収集し、総量規制が資金需要者に与えた影響を分析した。総量規制の効果により、多重債務に陥る危険度の高い借り手が無理な借入を行えなくなり、多重債務者数の抑制に成功しているのであれば、規制導入後の延滞率などに、その傾向が現れるはずである。そこで、総量規制導入時から2011年9月末までの17ヶ月間のデータを用いた延滞率などの推移の分析結果から、総量規制が多重債務者の減少に寄与しうるのか検証していった。
その結果、総量規制の導入後に観察される状況は、所期の目的を達していると評価し難い状況にあることが明らかとなった。