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2006年 消費者金融サービス研究学会年報 No.3

消費者金融市場における金利のあり方
森 直哉
熊本県立大学

信用リスクについて同質的とみなされる借り手集団をひとつのクラスとみなすとき、その借り手数を十分に大きくすることで、貸付債権ポートフォリオのボラティリティを低下させることが可能である。消費者金融会社はそのようなリスク分散を十分にはかったうえで、「期待損失」を埋め合わせるために、デフォルト・プレミアムを付加すべきである。さらには、ボラティリティがもたらす「期待せざる損失」を埋め合わせるために、リスク・プレミアムも付加した約定金利を設定するのが合理的である。

 ところで、小規模会社は、地理的な制約や知名度の弱さのために、借り手を十分に大きくすることが相対的に困難である。したがって、採算がとれる金利水準は高くなければならないと推論される。そのような状況下で、上限金利規制は高リスク層を顧客とする小規模会社に対して、より強く悪影響を及ぼすことになる。

Credit Risk and Interest Rates in Consumer Financial Services
Naoya Mori
Prefectural University of Kumamoto

 In this paper, we consider the relationship of credit risk, interest rates, volatility of consumer loan portfolio, and the firm size of consumer financial agencies. If consumer financial agencies limit the range of their customers, the number of borrowers of same credit risk will increase. Since the volatility of a loan portfolio is inverse proportion to the number of borrowers, portfolio’s diversification effect of small agencies are weaker then that of large agencies in our model. In such a framework, small agencies will need higher default premium, risk premium, and therefore, higher interest rates.

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