早稲田大学消費者金融サービス研究所 第12回 公開シンポジウム 「格差社会とノンバンクの役割」 第12回 シンポジウムは終了しました。 |
早稲田大学消費者金融サービス研究所では、今年度、「格差社会とクレジット」をテーマに継続的に公開シンポジウムを開催してきました。1月には「格差社会とクレジットの役割」のテーマで、社会の格差が開いているといわれる中でクレジットが果たす役割とリスクについて、信用収縮の影響が最も大きいと思われる沖縄と北海道の具体例をご紹介しながら、あるべきクレジット社会の姿について検討いたしました。また5月には「格差社会と中小・零細企業金融」をテーマに、事業者向け貸金市場、特に中小・零細企業の資金繰りを中心に議論。7月に再度このテーマを取り上げ、事業者向け金融が本来の役割を果たせなくなっている現状について詳細な検討を行いました。また6月には「格差社会と個人向け金融」と題し、個人向け金融の利用者に関する実態調査や市場動向の分析に基づき、ノンバンクが担ってきた貸金市場の現状や改正貸金業法の影響などについて考えて参りました。10月には市場の中に“金融空白地帯”というべきものが生じており、どこからもお金を借りられなくなった経済的弱者(消費者、事業者とも)が違法金融に走る可能性が指摘されてきたことを受け、「格差社会と違法金融」をテーマに、入手可能な様々なデータや、ネット上での違法金融相談サイトや個人ブログの内容分析など、可能な限りデータに基づいて、違法金融の実態について明らかにしました。 これまでのシンポジウムを通じて、法改正、過払金返還請求の急増、資金調達難などの影響で、貸金登録業者数の激減、成約率の急減、消費者向けおよび事業者向け貸付残高の激減など、ノンバンクが本来の資金供与機能を果たせない状況に陥っていることが明らかとなりました。こうした貸金市場の機能不能の影響は、経済的弱者、たとえば自営業者、零細企業の就労者、派遣社員、地方に居住する資金需要者に向かっています。 今回は、これまで開催したシンポジウムの総括として、ノンバンクが本来果たすべき役割とは何なのか、それが現在果たせていないとすればなぜなのか、どうすれば本来の役割が果たせるのかということについて議論を行い、今後のノンバンクによる貸金市場のあり方を検討していきたいと思います。 ご関心をお持ちの皆様方のご来聴を心よりお待ち申し上げております。 |
早稲田大学消費者金融サービス研究所 所 長 坂 野 友 昭 |
テーマ:「格差社会とノンバンクの役割」 日 時:2009年12月7日(月)13:00〜17:00 場 所:早稲田大学 大隈記念講堂B1 小講堂 MAP |
12:30 開場 13:00 開会挨拶 13:05 基調講演 「ノンバンク事業への政府の関与とその限界」 政策研究大学院大学教授 福井 秀夫 13:35 報告Ⅰ 「貸金業者の経営実態」 日本貸金業協会企画調査部長 水落 恒 14:05 報告Ⅱ 「統計解析を通じて見た法改正後の消費者金融利用者の動向」 東京情報大学総合情報学部准教授 内田 治 14:35 総括 早稲田大学消費者金融サービス研究所所長 坂野 友昭 14:50 休憩 10分 15:00 パネルディスカッション パネリスト(五十音順) NPO法人女性自立の会理事長 有田 宏美 東京情報大学総合情報学部准教授 内田 治 内閣府大臣政務官金融庁担当 田村 謙治 政策研究大学院大学教授 福井秀夫 シンクタンク・ソフィアバンク副代表 藤沢 久美 モデレーター 早稲田大学消費者金融サービス研究所所長 坂野友昭 17:00 閉会 |
有田 宏美 NPO法人女性自立の会 理事長 1996年より多重債務に陥った女性の相談業務に従事。 2000年6月、女性の心の支援会として「特定非営利活動法人(NPO法人)女性自立の会」を設立。これまでに4,000人を超える多重債務に陥った女性のクレジットカウンセリングを通して「借金の問題は心の問題」をコンセプトに、多重債務者への再発防止カウンセリングに務めている。 著書に「借金で悩んでいるあなたへ -人生をやり直すための63の方法-」(評言社)他。 経済産業省 消費経済審議会割賦販売部会委員、生活支援カウンセリング協会理事。 内田 治 東京情報大学総合情報学部環境情報学科 准教授 東京理科大学大学院修士課程修了。専門は統計学、多変量解析、実験計画法、アンケート調査、データマイニング、品質管理。『例解データマイニング入門』(日本経済新聞社)、『グラフ活用の技術』(PHP研究所)他多数。 田村 謙治 内閣府大臣政務官金融庁担当 1991年東京大学法学部卒業後、大蔵省(当時)入省。1993年ミシガン大学大学院(政治専攻)留学。主税局、財政金融研究所、関税局、国税庁を経て2002年財務省を退職。山村健衆議院議員の政策秘書を務め、2004年衆議院議員初当選。2009年9月より現職。衆議院内閣委員会に所属。 福井 秀夫 政策研究大学院大学 教授、知財プログラム及びまちづくりプログラムディレクター 1981年東京大学法学部卒。京都大学博士(工学)。建設省を経て96年法政大学教授。00年ミネソタ大学客員研究員。01年より現職。専門は行政法・法と経済学。内閣府規制改革会議委員。著書に『都市再生の法と経済学』(信山社、2001年)、『司法を救え』(共編著、東洋経済新報社、2001年)、『官の詭弁学』(日本経済新聞社、2004年)、『新行政事件訴訟法』(共著、新日本法規出版、2004年)、『司法政策の法と経済学』(日本評論社、2006年)、『ケースからはじめよう 法と経済学』(日本評論社、2007年)ほか。 藤沢 久美 シンクタンク・ソフィアバンク 副代表、法政大学大学院 客員教授 国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。99年同社を世界的格付け会社に売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。現在、副代表。03年社会起業家フォーラム設立、副代表。07年ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出される。法政大学大学院客員教授、金融審議会委員など公職も多数兼務。 NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターを3年間務め、以来、700社を超える全国の中小・ベンチャー企業の取材に取り組み、現在は、ネットラジオ「藤沢久美の社長Talk」やBS11「藤沢久美のJUST in!」など、様々な分野のリーダーとの対談を通じて、社会の課題を考えるヒントを発信している。著書は『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』など多数。 水落 恒 日本貸金業協会 企画調査部長 1949年生まれ。2007年3月クレジットカード会社より「新貸金業協会設立協議会」の発足と同時に事務局に参加。2007年12月の日本貸金業協会設立時より協会本部企画調査部長を務める。 坂野 友昭 早稲田大学消費者金融サービス研究所所長、早稲田大学商学学術院教授 パーソナルファイナンス学会常任理事、国際ビジネス研究学会常任理事。 1977年早稲田大学商学部卒業。1982年早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程修了。専門は経営戦略。 訳書に『個人情報の管理と倫理』(敬文堂)、『21世紀の消費者信用市場』(東洋経済新報社)、『消費者信用市場の経済学』(東洋経済新報社)他。Journal of Marketing, Journal of International Business Studies, Organization Science, Journal of Applied Psychology, Journal of Business Ethicsなど、海外の主要学術雑誌に多数の論文を発表。 |
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